良好な人間関係を築くために、まず「思考の枠組み」を広げよう。円滑なコミュニケーションを実現するための準備運動~相手の心をぐっと掴むコミュニケーション術~

こんにちは、前川由希子です。私はこれまで10年以上、講演・研修・MC・出版などを通じて、多岐にわたる人材育成・組織活性をサポートしてきました。

これらの経験で培ったコミュニケーション術を、様々な視点でみなさんへご紹介していきます。


私がコミュニケーションに関する講演・研修を行なっていると、仕事で関わる上司・部下・同僚など、「周囲の人との人間関係をよりよくしたい」というご相談をいただくことが、少なくありません。

今回は、良好な人間関係を築くために欠かせない、自分の視野・思考の枠組みを広げるコツをお伝えします。


■自分の「思い込み」に気づくことが、円滑なコミュニケーションの入り口

良好な人間関係を築くコミュニケーション術を身につけたいという方に、頭の片隅にいつも置いていただきたいことがあります。

それは、スキル・テクニックの習得だけでなく、今の自分の発言・行動・思考を見直すと、周囲との円滑なコミュニケーションにつながるということ。


そこでポイントとなるのが「自分の思考の枠組みを広げる」ことなのです。


ここで、みなさんにちょっとした問いを出すので、ぜひ紙とペンを持って取り組んでみてくださいね。

この正六角形の図に、まっすぐな線を1本引いて、三角形を2つ作ってみてください。3分間考えてみましょう。

みなさん、答えはわかりましたか?

正解は複数ありますが、たとえば、こちらの画像のように「紙全体に対角線を引く」です。

「正六角形の中に線を引かないといけない」あるいは「そんなルールは説明されていなかった」と思った方もいらっしゃるかもしれません。


そして、もう1つの正解は、このように「帯のように太い線を引く」です。

こんな答えもあったのか、と驚きますよね。線の太さは、必ずしも正六角形と同じでなければいけない、というルールはないですよね。


実はこのように、無意識に「それが当たり前だ」「他に選択肢はない」と思い込んでいたということは、誰にでも起こりうることなのです。

また「正解は1つしかない」と思ってしまうと、他の答えを探そうという思考が止まり、最適な答えが思い浮かばないという経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。


誰かと会話やメッセージのやりとりをするといったコミュニケーションでも同じ。相手の話を、自分のルールや固定観念に当てはめてしまい、誤解やすれ違いが起きてしまうこともありますよね。

自分の意見が周囲に聞き入れられていない、自分の考えが相手に伝わっていないと感じる。そんな時は、無意識に自分で「思い込み」すぎていないか、見直してみましょう。


■周りの意見や情報だけで判断しないことが、視野を広げるきっかけになる

思い込みの存在を認識していただいたところで、自分の視野・思考を広げるポイントについて、もう少しお伝えしていきますね。

自分の思考の枠組みは、思い込みだけでなく「周囲からの意見・情報」にも影響されていることが多いです。


ここで、2つめの問いを出しましょう。郵便番号のマークを思い浮かべてみてください。カタカナの「テ」のようなマーク。上の横線2本は、どちらが長いと思いますか。


正解は「〒」、同じ長さですね。私が年に130回ほど、全国の企業さまへ講演や研修を行なっているなかで、この問題を出すことがあります。すると、業界・地域・年齢にかかわらず、横線2本のうち、上の方が短いと答える方が7割近くいらっしゃいます。


人は、周りが正しいと思っていることは、正しいと感じてしまう傾向があるのです。みなさんも、ニュースで聞いた、インターネットの記事で見た、職場のみんなが言っていたから正しいと思っていることはないでしょうか。

誰かとコミュニケーションをとる際にも、「自分の意見が正しい」という考えが固まってしまうと、なかなか周囲の意見に耳を傾けられなくなってしまいますよね。


もちろん、自分の意見を伝えることは大事ですが、周りの違う意見を聞いてみる、本当に正しいのか調べてみるなど、なぜ自分がその意見が正しいと思っているのか、一歩引いて考えてみましょう。

特に、自分と違う意見を持つ人とのコミュニケーションが苦手という方は、周囲の意見・情報に影響されすぎていないか、意識するといいですよ。


■よりよいコミュニケーションのために、過去の成功体験に疑問をもってみよう

自分の思考の枠組みに影響していることが、もう1つあります。それは「過去の経験」です。

たとえば、仕事で、過去に自分がうまくいったやり方を繰りかえす、という方も多いのではないでしょうか。

もちろん、過去と同じ失敗をしないように、成功した経験を参考にするのは、よいことですね。ただ、過去にうまくいったことが、必ずしも今のベストな答えやアイディアとは限らないのです。


「昔、先輩がこの方法で成功したから」「前の会社では、このルールが正しかったから」といった、過去の経験から判断していることがあったら、それよりもいい案はないのかと、立ち止まって考える癖をつけてみましょう。


これはコミュニケーションにおいても大事なポイント。話す相手によって、どんな伝え方や言葉づかいが適切かは変わります。以前うまくいった伝え方を続けたらうまくいく、ということではないですよね。


過去の経験を、よいお手本として活用することもあれば、ときには更新して考えてみる。そうすることで、コミュニケーション術が磨かれ、良好な人間関係の構築につながりますよ。

自分にとっての当たり前が、他の人にとっての当たり前とは限らない。そのことを念頭に置きながら、今回お伝えした「自分の視野・思考の枠組みを広げるコツ」を、ぜひ実行してみてくださいね。


<関連情報>

・前川由希子YouTubeチャンネル

「相手の心をぐっと掴むコミュニケーション術1 枠組みを広げよう!」


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