上司力アップのコツは?ES(従業員満足度)を高める、次世代リーダーシップの在り方

こんにちは、前川由希子です。これまで10年にわたり、脳科学・行動科学・心理学をとりいれた組織活性や人材育成を行なってきました。ありがたいことにリピート率は9割以上。長年ご一緒しているクライアントさんも数多くいらっしゃいます。

 

最近、「ES(従業員満足度)を高めたいけれど、うちには予算も時間もない」という声を耳にしました。一見、大きな改革が必要に思えるES向上ですが、上司のみなさんの意識や行動を少し変えるだけで、変化をおこすことができます。今回は、明日から現場で実践できるESアップ法をお伝えします。

 

■多様性の時代。個に意識を向けることが、ESアップに

近年、ますます多様性が尊重される時代となり、リーダーシップの在り方も変化しています。会社とは、さまざまな価値観やライフスタイルをもつ、個が集まってつくられている組織。従来の上司力が、異なる個を束ね、社員一丸となってゴールを目指すように導くことだったとすれば、新時代における上司力とは「個の多様性を尊重し、活かすことでチームを動かす力」なのではないでしょうか。

 

新時代の上司力を養うには、「若手だから○○だろう」という固定概念でひとまとまりにするのではなく、部下一人ひとりを見てみましょう。普段の仕事ぶりやなにげない雑談から、部下がなにを大切にし、どんな気持ちで働いているのか探っていくのです。

 

昇進のためならなんでもやりたいAさんもいれば、とにかく人と関わることに幸せを感じるBさん、社内のポジションよりもスキルアップを重視しているCさん……。部下が3人いれば、3種の異なる価値観が存在します。それを意識し、チームを動かしてみましょう。

たとえば、この3人と一緒に1つのプロジェクトを進める場合。昇進をしたいAさんには社内重役と連携するポジション、人が好きなBさんには多くの方を巻きこむ社外窓口、スキルアップを目指すCさんには少し挑戦的に、全体のプロジェクトマネジメントを任せてみてはどうでしょうか。

部下の想いをすべて実務に反映することは不可能ですが、できる範囲で会社の進む方向と合わせていくことはできますよね。社員と会社、両者の行きたい道が重なれば重なるほど、ES(従業員満足度)は向上していきます。

 

■「委ねる勇気」で、部下に仕事を任せよう。仕事を通した成長がESアップには不可欠

ES(従業員満足度)向上に取り組みたいけど、とにかく忙しくて時間がとれない。そんな方には、業務の棚卸しをおすすめします。上司が本当にやるべき仕事だけを残し、そのほかは「委ねる勇気」を出して部下に任せるのです。

 

仕事を任せられると、部下には責任感が芽生えます。そして、任された仕事の中でやりがいを感じたとき、ESは高まります。

その際、部下がいきいきと働き、成長できるよう、上司がやっておきたいことが2つあります。1つ目は、大きなミスが起こる前の予兆を察知するため、なんでも話せる関係をつくることです。そのために、日頃から良質なコミュニケーションを心がけていきましょう。

まずは、あいさつからひと工夫を。「おはよう」ではなく、「おはよう、◯◯さん」と、部下の名前を呼ぶのです。その人のアイデンティティが詰まっている名前を呼ぶことで、コミュニケーションは相手に向けられたテイラーメイドのものへと変わり、ぐっと質が高まります。

 

2つ目は、きちんと叱ることです。逆にESが下がるのでは? と不安に思うかもしれませんが、叱る=怒る、ではなく「今できないことを、次にできるよう部下に期待をすること」と捉えてみてください。

期待をする際も、個を意識するとなお良いです。たとえば、期待された分だけジャンプ力の高まる部下には、最初からドンと期待を。小さな一歩を確実にきざむタイプの部下には、「来月までに◯◯をできるようにしたら、次の●●にもつながるね」というように、少しずつ段階をわけて期待をかけ、成長を見守るのです。

 

人間には成長欲があるので、部下が自己の現在地をきちんと把握し、次に目指す場所が見えていること、日々の仕事を通じて成長を感じられることは、ESアップに不可欠な要素となります。

 

■部下の仕事ぶりを「圧倒的な観察力」で見よう。頑張りを認められると、ESは高まる

私の研修では、上司のみなさんに「圧倒的な観察力を持ってください!」とお伝えしています。人はいろんな面を持っているので、多角的な視点で、細部に気を配って部下を観察してください、という意味です。

 

観察する際のポイントは、プラス面に光をあてること。上司のみなさんは、欠けている部分を見つけ、そこを埋めることに長けているので、どうしても部下のできない部分に目がいってしまいがちです。しかし、指摘ばかりでは部下の心に「でも、頑張っているのに……」と、報われない気持ちがたまっていきますよね。

 

「圧倒的な観察力」で、いいところを見つけていきましょう。ただの「観察力」ではなく、「圧倒的な観察力」です。人は、見たいものや見慣れたものばかりを見る傾向があります。そこで、「見る角度を変えてみると?」「気づいていない何かが隠れているのではないか?」という観点で見るのです。見えないものを見ようとする力を、「圧倒的な観察力」とお伝えしています。つくった資料がわかりやすかった、お客さんへのメールが丁寧でよかった、など、どんな小さなことでもいいのです。

 

そして、部下のよいところは、どんどん言葉にして伝えてみてください。「自分の仕事ぶりは認められているのだろうか?」と部下が心配している状態では、余計なところにエネルギーが逃げてしまい、生産性があがりにくくなります。それはもったいないですよね。

「言わなくても、わかっているでしょう」と思いがちですが、親子や夫婦でも言葉にしなければ伝わらないことがたくさんあるのですから、まったくの他人である部下には、なおさら言語化してあげることが大切です。

自分の仕事が認められ、組織に貢献している実感がもてたとき、ES(従業員満足度)は上がります!

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